ドクター

2004年3月18日
 僕とドクターのつきあいは短くはないが長くもない筈だが,困ったことにつき合いだしたのがいつのことだったか覚えがない。
 とにかくドクターと僕はそれまでも知り合いではあったが,彼が路頭に迷った挙げ句僕の隣人となって以来僕たちの関係はなかなかに親密だ。
 彼はひととおりのことは出来るのだが如何せん衰えている。最近は何をするにも時間がかかり,短気な僕は彼を急かしてその寿命を縮めている。だから彼も時々僕に文句を言う。けれど基本的には僕の言うことを聞く気でいるらしい。
 ドクターは盲目みたいなものだ。見えないわけじゃないけど。
 ドクターがだんだん見えづらくなってきたときモニカを紹介したのは他でもない僕だ。いや,正確には親父が紹介してくれたモニカを,さらにドクターに紹介した,というのが正しい。
 モニカというのはひどい女だ。どうひどいって,頭の中が殆ど空っぽな上に融通が利かない。彼女のいいところは,そう,若いのと,顔がいいことくらいじゃないだろうか。
 しかし彼女がいないと何もできないくらいドクターは老いてしまったらしい。まったく,気が滅入るったらないよ。

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